忘れないうちに、
先日あった東京大学大学院、酒井邦嘉先生の講演会のことを書いておきたいと思います。
先生の講演会のときのメモを見ながら なるべく正確に記録しているつもりです。
まずは、先生
「誤解を解こう!」いう小タイトルで話し始めてくれました!
『子どもに複数の言語を同時に学ばせると混乱するというのは誤解である』
はっきりおっしゃっていました。
↑そもそも、
両親が全く同じ言葉を使っているという状況はありえないので、
それでも、子どもは混乱していないので、大丈夫ということです。
どういうことかというと、
男性と女性では やはり言葉が違う(語尾とか)し、
出身が違えば方言もあります。
そういう細かい違いの方が本来難しいのに、
小さな違いで混乱がおきていない。
むしろ言語がはっきり違う方が混乱しないといえる。
という風にもおっしゃっていました。
***
『ダブルリミテッドという誤解』
ダブルリミテッドとは、
二ヵ国語の話者が、どちらも年齢相応に使いこなせない状態:セミリンガルと同義で
移民の家庭によくみられる現象ですが、
これは脳科学や言語学からみた場合
複数の言語が思考言語を阻むということはありえないそうです。
原因はむしろ「環境」にあると。
家庭でも学校でも、
どこに行っても自分のことばが受け入れられない環境が原因で起こる。
そうおっしゃられていました。
会話の少ない家庭や、言葉の通じない学校など、
どこにいっても自分のことばが通じない、
ことばがうまく育たない場所にいる状態こそが原因で、
言語数の問題ではないそうです!
↓
複数の言語を同時に学ぶことは
いかに自然であるか!
且つ自由自在にできるか!
変な誤解で可能性をつぶしているんだそうです。
ということで、
「言語獲得を科学的に考えよう!」という感じで話が展開されました。
***
このような問題を科学的に議論した最初は
おそらくギリシャのプラトン!で
「なぜ人間の知性は、教育を受けていなくても
こんなにたくさん深いところまで柔軟にわかるのか、学べるのか、経験した以上のことを知ることができるのか」というようなことを問うていたそうです。
⇒そもそも「刺激」というのは「貧困」で、
つまり環境の言語刺激は不足している!
だから、
まずは母語をしっかり獲得してから二つ目に!
とか
複数の言語を同時に学んではいけませんとか
そういうようなブレーキをかけるような議論は論外!
①ブレーキは不要です!
むしろ、
豊富な言語環境にもっていく
アクセルを踏むほうが
より科学的に言語獲得を進めることができます。
②繰り返しがミソ!
繰り返し現れる表現が定着しやすいです。
③言語発達に個人差があっても、
言語的障害がないかぎり、環境に余程の問題がない限り
自動的に等しく生得的に(普遍的に)言語獲得は進みます。
という話をしてくださいました。
この話の時に衝撃だったのは、
極端に家庭内の会話がない場合の例です。
たとえば子どもにDVDやTV・YouTubeだけ与えてかけ流してほっとくというのは危険という話です。
一人一台タブレットの今の時代、
子どもが親に話しかけに来ること自体が減っているのが現状だそうです。
会話がないというのは、我が家では想像できないのですが、
なんとさみしいことが現実問題としてあるんだなと思いました。
毎日ピーチクパーチクすごいけど、
それがないと寂しいんだろうなということは
容易に想像がつきます。
***
続きはまた書きますが、
ここまでの話で思ったことは、
複数の言語が同時に環境にあることは何の問題もないということと
未だにそれが大問題であるという誤解があることです。
どうして、そんな誤解がここまで根強いのか。。。
それが不思議でなりません。
人間みんな同じなのに、
多言語の国の方が圧倒的に多いのに、
どうしてここまで根強く反対の考え方がはびこっているのか。。。
人間は未知のものにおびえる生き物だからなんですかね?
続きます!
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ちなみに、長男もこの日のメモを取っていた話はこちら!